変わらない「こだわり」。立ち止まらない「夢」。丸進工業は帆布の進化に挑み続けます。





丸進工業でつくられる「倉敷帆布」は今も昔も多くの人の手で守られてきました。
機械を守る人、糸づくりに命をかける人、地道だけど大切な技をコツコツ続ける人。
そうして出来上がった倉敷帆布の価値を伝え、販路を開拓する人。会社を守る人。
操業から80年を経た今、倉敷帆布を支える人々の思いをまとめました。


倉敷帆布は両端の耳の美しさが特徴。そこで、もっときれいに出せるようにと考えたら、幅の狭い織り機そのものを、自分で設計、溶接までして作ってしまいました。シャトル(杼)も特注です。帆布をつくる仕事のはずが、新しい機械までつくるなんて自分でも驚きです。うちで使っているシャトル織機はもう生産されていないので、いまある織機をとても大事にしています。壊れたら自分で直してしまいますし。やっぱり帆布を織る仕事が好きじゃないとできないですよ。幅が狭いと織り上げる効率も悪いんです。でも、効率よりも、誰にもできない良いものを作っていきたい。そのほうが大変かもしれないし、手間もかかる。だけど、よそにできないものを作った方が面白いじゃないですか。
社員全員が倉敷帆布の伝統を守りながらも新しいことに挑戦し、他にないものを目指して意見を交わす。すべてに工夫を凝らすことができるから、とても楽しいですよ。ぜんぶ自分たちでこだわっているもの。そんな愛着をもって作りあげているもの。それが倉敷帆布です。まだまだこれからも私たちにしかできないものを作り続けていきます。

丸進工業株式会社 取締役工場長 渡辺 国弘  




一本の糸も、織り機にかけるまでには、実は幾通りもの工程が必要なんです。「整経」は帆布を織り上げる糸をつくるための、最も要になる部分になります。いかに結び目がないものをつくるか。弛みや張りにばらつきが出ないように調整したり。一本一本に愛情を込めて糸を均等に整えていきます。自然の恵みからできている糸は、見た目は同じように見えるかもしれないけど、季節や天気で状態がぜんぜん違うんです。湿度が高い季節の方がコンディションは良いし、乾燥していると糸が切れやすくなるし。だから、糸の状態を見て細かな調整をする私のような役割が必要となってくるんです。そしてこの工程は技術だけではなく、経験が必要になるんです。機械に頼る部分もありますよ。でも、結局は手の感覚がいちばんです。手をそっと添える。指先が糸に触れる。糸が伝える情報を聞き逃さないように、その一点に神経を集中させる。糸は柔らかいけれど、摩擦で指紋がなくなるんですよ。そんなふうに糸と会話しながら帆布をつくっているんです。担当しているのは糸ですが、それが帆布に織り上がって、さらに製品になったものを見るととても嬉しいです。そして、少しでも倉敷帆布を皆さんに伝えていくお手伝いができることも嬉しいです。

丸進工業株式会社 整経工程 織布準備責任者 名越 将  




「経通し」とは、一本一本の経糸(たていと)を織り機のパーツに通して帆布の柄を描いていく仕事です。柄物は機械では出来ないので、全て手作業で行います。とっても細かい作業ですよ。見た目と違って、通す糸は結構堅いんです。緩んでいるとダメですね、張りを持たせないと。ひとつの織り機用の糸を通すのも一日がかりです。一番大変だったものは丸三日かかりました。たまに目もしょぼしょぼしてくるけど、一本間違えるだけで模様が変わってしまうので気が抜けません。糸を通す作業の繰り返しだけれど、私的には作品を創っている感覚ですよ。しかも今この工程ができるのは私だけなので、休んでいられないですね。この仕事をはじめて四十年くらいかな。これからもっと複雑な柄や通し方に挑戦していきたいですね。三日と言わず一週間とかかる、大きな作品を作っていきたい。大変だけどやっぱり楽しい面もあります。もっと若ければいいのですが、もう年で目が良くないから大変な挑戦になりますが、でも挑戦していきたい気持ちだけはありますよ。それから、次の世代に技術を受け継いでいきたいという思いがあります。やっぱり若い方に技術や文化を受け継いでいってもらいたい。じっと座って集中しなくちゃいけないので、根気がいるんですが、それを克服して技を身につけるために学んで欲しいですね。倉敷帆布には、もっともっと先の未来があると思うし、私自身その未来を見てみたいです。自分がやるにせよ、後継者がやるにせよ、そこに関われたら幸せです。

丸進工業株式会社 経通し工程 塚本 ワサエ